成年後見制度の大変革!見直しの方向性を分かりやすく解説

成年後見制度は現在、大きな見直しが進められています。今回は、厚生労働省が令和8年1月に発表した資料をもとに、成年後見制度がどのように変わるのか、そして利用者にとってどんなメリットがあるのかを、分かりやすくお伝えします。

■ 現在の成年後見制度のおさらい

【法定後見制度】

判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所が選任する後見人等が本人を支援する制度です。

本人の判断能力の低下が大きい順に「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれています。

■ 何が問題だったのか?

現行制度については、以下のような課題が指摘されていました。

【問題点1】やめたくてもやめられない

例えば「遺産分割のために後見人が必要だった」というケースでも、遺産分割が終わっても、判断能力が回復しない限り制度の利用をやめることができません

【問題点2】本人の自己決定が過度に制限される

特に「後見」の場合、成年後見人に包括的な取消権や代理権があるため、本人が本当は自分でできることまで制限されてしまう可能性がありました。

【問題点3】後見人の交代が難しい

本人の状況が変わっても、適切な後見人への交代が実現せず、本人のニーズに合った支援を受けられないケースがありました。

■ 見直しの方向性:3つの類型を「補助」に一元化

今回の見直しで最も大きな変更は、現行の「後見」「保佐」「補助」の3類型を廃止し、「補助」の制度に一元化するという案が示されていることです。

【新しい制度のポイント】

✓ ポイント1:必要な支援だけを選択できる

判断能力の程度で画一的に制度が決まるのではなく、本人が必要とする支援の内容に応じて制度を選択できるようになります。具体的には、次のようなことが検討されています。

  • 特定の行為についてのみ代理権を付与
  • 重要な財産行為の全部または一部について取消権を付与

✓ ポイント2:必要性がなくなれば終了できる

制度の開始時に「保護する必要性」を要件とすることで、判断能力が回復しなくても、その必要性がなくなれば制度を終了できるようになります。

例えば、遺産分割のために制度を利用したケースでは、遺産分割が完了すれば制度の利用を終了できる可能性があります。

✓ ポイント3:本人の意見をより重視

  • 成年後見人等を選任する際に、本人の意見を重視すべきことを明確化
  • 成年後見人等が本人の意思を尊重する内容(必要な情報提供、意思の把握など)を明確化

✓ ポイント4:後見人等の交代がしやすくなる

現行法の解任事由(不正な行為、著しい不行跡)に加えて、「本人の利益のために特に必要がある場合」にも解任できる新たな解任事由を設ける案が検討されています。

■ 利用者にとってのメリットは?

では、これらの見直しによって、実際に制度を利用する方々にどんなメリットがあるのでしょうか。

【メリット1】「ちょうどいい」支援が受けられる

従来は判断能力の程度で自動的に類型が決まっていましたが、新制度では本人に本当に必要な範囲の支援だけを受けられるようになります。

例えば:

  • 「不動産の売却だけサポートしてほしい」
  • 「銀行手続きだけ代理してほしい」

といったニーズに応じた、オーダーメイドの支援が可能になります。

【メリット2】自己決定権が守られる

包括的な権限ではなく、必要な範囲に限定された支援となるため、本人が自分でできることは自分で決められます。これは、国連の障害者権利条約が求める「意思決定支援」の理念にも合致します。

【メリット3】柔軟な制度利用が可能に

「必要な時に、必要な期間だけ」利用できるようになるため、人生の特定の場面でのみ支援が必要な方にとって、より使いやすい制度になります。

【メリット4】本人に合った支援者を選べる

本人の意見がより重視され、状況に応じた交代もしやすくなることで、本人のニーズに合った適切な支援者から継続的にサポートを受けられるようになります。

【メリット5】報酬の透明性が向上

後見人等の報酬について、実際に行った事務の内容が考慮されることが明確化される方向です。これにより、サービス内容と報酬の関係がより分かりやすくなります。

■ まとめ:「本人らしい生活」を支える制度へ

今回の見直しは、成年後見制度を「本人の権利を過度に制限する制度」から「本人らしい生活を支える制度」へと大きく転換させるものです。

  • 必要な支援を必要な範囲で受けられる
  • 自己決定権が最大限尊重される
  • 柔軟に利用開始・終了ができる
  • 本人の意見が制度運用に反映される

高齢化が進む中、成年後見制度のニーズはますます増加・多様化しています。今回の見直しによって、より多くの方が安心して利用できる制度になることが期待されます。


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出典:厚生労働省「成年後見制度の見直し等について」令和8年1月19日