法制審議会で検討中!成年後見制度の新しい方向性は?
2000年から始まった成年後見制度。利用者は年々増えていますが、一方で「本人の意思が十分に尊重されていないのでは?」「一度始めると亡くなるまでやめられない」といった課題も指摘されてきました。
こうした状況を受け、法務省の法制審議会では成年後見制度の大幅な見直しが議論されています。今回は法制審議会の資料をもとに、どんな方向性で検討されているのかをお伝えします。

■ 今回の議論のポイント
- 「後見」「保佐」「補助」の3類型を見直して、補助を中心とした柔軟な支援の仕組みへ
- 本人の自己決定をより尊重して、権利の制限は必要最小限に
1. なぜ見直しが必要なのか?
法制審議会では現行の「後見」類型について、次のような課題が示されています。
● 課題① 包括的な代理権が強すぎる
「後見開始」と判断された人は、財産管理や法律行為のほとんどを後見人が代理できるという非常に強い制度になっています。しかし、以下のような課題があります。
- 本人の意思を十分に汲めていないケースがある
- 代理権が広すぎて本人の自己決定が奪われる懸念がある
● 課題② 取消権の範囲が広すぎる
後見や保佐では、本人が行った行為の多くを後見人や保佐人が取り消すことができます。これも、本人の状況にかかわらず一律で規定されており、制限が過剰になる場合があるとされています。
2. 今後の制度の方向性
前述の理由から、現行の後見類型のような包括的な代理権を持つ類型は維持せずに、現行の補助を中心とした類型に一本化する方向で検討されています。
そして申し立てには原則として本人の同意を要するものとされています。これは判断能力が低下していたとしても、本人の自己決定権を最大限尊重するためです。
3. 新制度の問題点
過剰な権利の制限を見直すことや本人意思を重視する方向性はとても重要ですが、実際に認知症や知的障害等で判断能力が低下してしまった人を支援している方からすると、次のような不安を覚えるかもしれません。
- このしくみで悪徳商法や詐欺のような被害から本人を守れるのか?
- 本人の意思を確認できないような場合にはどうするのか?
そのために「特定補助人」というしくみも検討されています。重度の認知症などで判断能力が著しく低下している場合には、本人がした一定の重要な行為は取消可能にしたり、本人への意思表示の受領や財産の保存行為などができるものです。
4. 本人の意思尊重と柔軟な支援が制度の中心に
全体として、今回の見直しの方向性は本人の意思を尊重しつつ、必要なところだけサポートするということです。これにより、
- 代理権は必要な部分だけ
- 同意を要する行為は本人と相談しながら決定
- 判断能力がかなり低い場合は特定補助人が保護
というように、本人の状況に合わせた多段階の支援が検討されています。
5. まとめ
現在の検討内容のポイントをまとめると、
- 本人の意思や希望を尊重する
- 必要な範囲に限定して支援する
- 制限は必要最低限にする
というところになります。
まだ検討段階ですので、今後後見制度がどう変わっていくのかはまだ分かりません。実務で関わっていていろいろと問題と感じる部分が、少しでも本人と支援者にとってよい制度になることを願います。
認知症や知的障害、精神障害などで後見制度の利用を検討されている方は、お気軽に当事務所までご相談ください。


