「その老人ホーム、大丈夫?」施設選びの重要ポイント
有料老人ホームの現状と課題
10月3日に厚生労働省が「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」を開催しました。高齢化が進む中で、有料老人ホームは「住まい」と「介護」の両面を支える存在として急速に拡大しています。
多くのホームは在宅での生活が難しい高齢者を支える頼もしい存在です。しかしその一方で、過剰な介護サービスの提供や契約内容の不透明さなど、さまざまな課題も指摘されています。
課題①:過剰な介護サービスの提供
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では介護事業所が併設されているケースが多く、入居者に必要以上の介護保険サービスを提供している可能性が指摘されています。
ホーム、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所、サービスを提供する訪問介護事業所や通所介護事業所の全てを同一(あるいは系列)法人が運営をしていて、いわゆる「囲い込み」状態のホームもあります。
入所している本人や家族は、日頃お世話をしてもらっている手前、気になることがあっても言いずらい雰囲気になりがちです。また、介護保険サービスの制度的な構造が過剰サービスの誘因になっている面もあります。
課題②:契約内容の複雑さと情報格差
有料老人ホームの入居契約の多くは、「入居契約」+「介護サービス契約」の二重構造となっており、内容も非常に複雑です。契約書は事業者側で作成されることが多く、高齢者や家族にとって不利な条件を含む場合もあります。
また、事前説明が十分でなかったり、説明を受ける側の知識不足で「こんなはずじゃなかった」といったトラブルにつながることもあります。
課題③:サービスの質のばらつき
事業者間で職員体制やサービス内容の差が大きく、入居者の自立支援や看取り対応などの質にばらつきが見られます。
第三者評価制度の活用や外部モニタリング体制の強化など、当事者以外の目が入ることでの改善が求められています。

課題が生じた背景・要因
- 介護事業と住宅事業を同一法人が運営し、実質的に「囲い込み」構造になっている。
- 老人福祉法に基づく指導監督に限界があり、実効性ある行政処分が少ない。
- 自治体による基準の解釈や対応が異なり、全国的な統一性がない。
- 契約・苦情対応など、入居者を守るための相談体制が不十分。
今後の方向性 ― 透明性と信頼性の確保へ
検討会では、今後以下のような方向性が示されています。
- 登録制などの事前規制の導入:安全性・人権尊重の観点から、行政が一定の関与を強化。
- 情報公開の充実:介護サービスの内容や料金、協力医療機関などを分かりやすく公表。
- 第三者評価・地域モニタリング:サービスの質を客観的に評価・改善。
- 苦情・相談窓口の一本化:地域ごとにワンストップで相談できる仕組みを整備。
- 紹介事業者の質の確保:中立的な立場から高齢者を支援する仕組みを構築。
有料老人ホームを選ぶときのチェックポイント
有料老人ホームを選ぶ際は、パンフレットの印象や施設の雰囲気だけでなく、次の点を確認しておくことが大切です。
- 入居契約書と重要事項説明書の内容を十分に確認する
- 介護サービスの提供主体(併設か外部か)を把握する
- 看取りや医療連携の体制について事前に確認する
- 前払い金・退去時精算の条件を必ずチェック
- 第三者評価の結果や自治体公表情報を活用する
まとめ
有料老人ホームは「安心できる住まい」であると同時に、「法的な契約関係のある事業サービス」です。選ぶ際には、施設の雰囲気だけでなく、契約・サービス・運営体制の透明性をしっかり見極めることが何より大切です。
不明点や不安がある場合は、介護保険や高齢者の生活に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
横浜ともしび行政書士事務所では、有料老人ホームをはじめとした高齢者施設の選び方、その方に適した介護保険サービスの利用の仕方などのご相談にも対応しています。お気軽にご相談ください。


