単身高齢者に新たな支援制度を創設?

8月3日付の読売新聞にこのような記事が掲載されていました。

>>増え続ける身寄りのない高齢者、入院・入所・死後の手続きの支援制度を創設へ

厚生労働省が身寄りのない高齢者向けに、入院・入所や死後の手続きを支援する仕組みづくりを進めるとのことです。

私も長いこと介護・福祉に関わり、身寄りがいないために様々な生活上の課題に直面している方に出会いました。そうした方を支える仕組みができれば、ありがたいことです。

ところで、なぜこのような支援制度が必要なのでしょうか?要因は複数ありますが、私は「身寄りがいない=受け入れ側のリスク」と捉えてしまうことが大きいと感じています。

身寄りがいないことはリスク要因か?

病院や施設は身寄りがいない方を受け入れた際に、次のようなリスクを想定するのではないでしょうか。

  • 医療費や利用料の未収
  • 医療同意や入退院(所)の判断する者の不在
  • 緊急時や遺品整理などの対応者の不在

確かにこれらは実際に起こりうる問題です。しかし、「身寄りがいない」から起こるとは限りません。身寄りがいるのに未収になった、家族が入院手続きをしたのにその後音信不通になった、というケースを何度も目にしました。

つまり、単に「身寄りがいない」ということだけにフォーカスするのではなく、周辺の状況も踏まえてしっかりアセスメントした上で、先に挙げたようなリスクがあるのかを判断すべきだと思うのです。

理想と現実

医師法では「正当な事由がなければ診療を拒んではならない」と定めており、理論上は身寄りがいないことを理由に入院を拒否するような扱いは違法です。ですが、ある調査によれば身元保証人を求める病院・施設は9割以上と言われ、実際に身元保証人が用意できないと入院・入所を断られる事例は少なくありません。

もちろん、病院や施設も未収等は運営上の大きなリスクであり、そこを懸念することは理解できます。ですが、先ほども述べたように必ずしも身寄りがいないこと自体がリスクになるわけではありません。

そしてリスクがあったとしても、それをカバーすればいいだけの話です。今回検討されている支援制度がそのカバーする方法の一つとなればよいのですが、どんなに良い制度ができても、それを運用する現場の意識が変わらなければ絵に描いた餅です。

まとめ

これらは病院や施設だけが考えればよい話なのではなく、利用する側の誰もが考え、準備をしなければならないことです。

少子化に歯止めがかからずに人口減少社会となった日本。さまざまな制度を作ることも必要ですが、一人一人が自分の将来、特に老後の生活について真剣に考え、準備をしておくことが必要です。

当事務所ではお一人様の老後についてのご相談も承っております。一人で悩まずに、まずはご相談ください。お話しを聞くだけでも何か解決できることがあるかもしれません。