「健康で文化的な最低限度の生活」ってどんな生活?
生活保護制度にはいくつかの原則があります。そのうちの一つが「最低生活保障の原理」です。法律の条文を見てみましょう。
生活保護法第1条
この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
生活保護法の目的について書かれている第1条に、さっそく「最低限度の生活を保障」と書かれています。その前には「日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き」とも書かれています。続いて日本国憲法第25条を見てみましょう。
日本国憲法第25条
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
ここでも「健康で文化的な最低限度の生活」と書かれています。そして生活保護法第1条も日本国憲法第25条も、どちらも「国」がその責任を負うことが書かれています。つまり、「国が健康で文化的な最低限度の生活を保障する」=「最低生活保障の原理」というわけです。
では、この「健康で文化的な最低限度の生活」って誰がどのように決めているのでしょうか?そしてどの程度の生活が保障されるのでしょうか?今回はこの謎を解き明かしてみましょう。
基準は厚生労働大臣が決めている
いきなり「誰が」の答えになってしまいますが、生活保護の基準は厚生労働大臣が決めています。当たり前ですが、大臣の一存で決まるわけではなく、次のようなプロセスで決まっていきます。
まず、全国家計構造調査(5年ごとに実施)のデータを用いて、生活保護世帯と一般低所得世帯の消費実態との均衡を図る「水準均衡方式」というもので生活扶助の基準が設定されます。
次に厚生労働省の社会保障審議会等で検討が重ねられ、最終的な基準が決定されます。基になる全国家計構造調査と同じく、生活扶助の基準も5年ごとに改定されます。
人間らしい生活を保障
そして「健康で文化的な最低限度の生活」は「人間として尊厳を保ち、社会の一員として普通の生活を送るために必要な水準」と言えます。
人間が生きていくうえで、衣食住の確保は当然に必要です。でも、衣食住だけで十分でしょうか?もちろんそうではありませんね。病気になれば病院を受診したり、薬を買ったりする必要があります。子供がいれば、きちんとした教育を受けさせる必要があります。社会生活を営む上では、冠婚葬祭での支出も必要です。時には娯楽も必要でしょう。
これら諸々を含めて、生活ができる状態が「健康で文化的な最低限度の生活」です。では具体的にどのくらいの金額になるのかというと、横浜市で単身世帯の場合、概ね月13万円程度になります。生活保護では医療費の自己負担はありません(処方薬以外にドラッグストア等で市販薬を購入した場合等は除く)ので、食費や家賃、光熱費、趣味や娯楽などをこの金額で賄うイメージです。
まとめ
今回は生活保護の「健康で文化的な最低限度の生活」についてご紹介しました。冒頭で紹介した憲法第25条にあるとおり、すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有しています。生活困窮に至る理由は様々ですが、生活保護は要件を満たしていれば誰もが利用できる制度です。
生活保護を受けたいけど手続きが分からない、申請しようか迷っているなど、お困りのことがありましたら当事務所でもご相談を承ります。一緒に悩みを解決していきましょう。


