「資産があると生活保護は受けられない」のウソとホント

 様々な事情で経済的に困窮した方を支える生活保護制度。「最後のセーフティネット」とも呼ばれ、生活保護法は第2条で「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる」としています。逆説的に言うと、法律の定める要件を満たさないと保護は受けられません。

 そして第4条では「保護は、生活に困窮する者が、その利用しうる資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」としています。急迫した事由がある場合など例外規定はありますが、まずは活用できる資産があれば、それを活用することが保護の要件となっています。これを「補足性の原理」と呼びます。

 ここまでの説明を聞くと、「資産があると生活保護は受けられない」と思われるかもしれませんが、それは正解でもあり不正解でもあります。具体的に見ていきましょう。

【不動産】原則保有不可だが、認められる場合もあり

 不動産は一般的に資産価値が高く、売却したり賃貸したりすれば生活の維持に活用できることが明らかですので、まずはその活用が求められます。一方で所有している不動産が居住用の住宅のみであり、居住を継続する方が合理的と判断されるような場合には、保有したままで保護の受給が認められることもあります。

 保有が認められなくても、現に生活に困窮している状況であり、不動産の売却に時間を要するような場合には、保護の受給を開始したのちに売却し、すでに受け取った保護金品相当額を返還するといった仕組みもあります。

【自動車】原則保有不可だが、認められる場合もあり

 自動車も不動産同様、売却による現金化が求められます。ただし、身体障害等の理由で通院等に自動車での移動が不可欠である場合や、公共交通機関の利用が極めて難しい地域に居住している場合等は、保有が認められることもあります。

 ただし自動車の保有には税金や保管場所の駐車場代、自動車保険料などの維持費が必要となります。また、万が一事故を起こしてしまった場合の損害賠償等、さらなる経済的負担となる要因が多いため、その保有の可否は慎重に判断されます。

【生命保険】契約内容による

 貯蓄の性質が強いものなど、解約返戻金がある生命保険は解約して生活の維持に活用することが求められます。一方でいわゆる「掛け捨て」の医療保険や共済などは加入したままでの保護受給が認められます。ただし、この場合で保険金を受領した場合は、福祉事務所への収入申告が必要となります。

【就労に必要な道具】原則保有可だが、認められない場合もあり

 生活保護法は第1条で「この法律は(中略)国が生活に困窮するすべての国民に対し、(中略)最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」としています。例えば自営業の方が一時的に仕事がなくなって生活保護を受給しているような場合に、その仕事道具まで売却してしまうと、逆に自立を阻害してしまうことになってしまいます。

 そのため就労に必要な道具は保有が認められる可能性が高いですが、高齢や傷病等の理由で今後の就労の可能性が極めて低い場合や、資産価値が高い道具などは保有が認められない可能性もあります。


 ここまで生活保護で資産の保有が認められるかを説明しましたが、ここで挙げたものはあくまでも一例です。その世帯の状況や担当する福祉事務所の判断によっても変わることがあります。

 「生活保護の申請を考えているけど、手持ちの資産があるから保護が受けられるか分からない」という方は、一度お住まいの地域の福祉事務所でご相談されることをお勧めいたします。

 手続きが分からない、一人で相談するのは不安という場合は、当事務所までご相談ください。実際に生活保護の現場で働いていた行政書士兼社会福祉士がお話しを伺い、最適なアドバイスをさせていただきます。