成年後見人ができないこと TOP5
認知症などで判断能力が低下してしまった方を支えるしくみである成年後見制度。成年後見人は判断能力が低下して家庭裁判所が後見相当と審判した方(「成年被後見人」といいます)の法定代理人として、主に「身上保護」と「財産管理」を担います。
ですが、成年後見人も成年被後見人にとって必要なことを何でもできるわけではありません。そこで今回は、私がこれまでの実務で経験した「成年後見人ができないこと」のTOP5をご紹介します。
- 医療行為への同意をすること
- 婚姻や養子縁組などの身分行為をすること
- 家事や介護などの直接的なお世話をすること
- 死後の対応をすること(例外あり)
- 日用品などの購入を取り消すこと
医療行為の同意をすること
成年被後見人の方は高齢の方が多く、病気やけがなどで医療機関を受診する機会が少なくありません。重篤な病気があって手術が必要な場面で、患者本人が自分で意思表示ができなかったり、手術のリスクなどが正しく認識できなかったりした場合、医師は家族にその内容を説明し、手術を行うことが一般的です。
ですが成年被後見人の方には家族がいなかったり、いても関係が疎遠でそのような対応が難しいケースが大半です。そのような場合に、医師が成年後見人の同意を求めてくることがあります。しかし、成年後見人には医療行為の同意をする権限はありません。本人の生命・身体に関わることは、いくら成年後見人でも決めることはできないからです。
婚姻や養子縁組などの身分行為をすること
婚姻は養子縁組などは「一身専属権」に属するといわれています。これは簡単に説明すると、本人だけが行使できる権利で、他人が代理して行使することはできないということです。個人の人格や身分に深く関わる行為が該当します。
民法738条では「成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。」とされており、799条では「第七百三十八条(中略)の規定は、縁組について準用する。」とされているため、成年被後見人が婚姻や養子縁組をするときには成年後見人に同意は必要ありません。
家事や介護などの直接的なお世話をすること
これは法的に禁止されているわけではありませんが、成年後見人が行う「身上保護」の中には、こうした直接的なお世話は含まれていません。成年被後見人が自分ができない家事や身の回りのお世話は、成年後見人が介護保険サービスの利用契約をしてホームヘルパーを依頼したり、家政婦や家族などが担うことになります。
死後の対応をすること
成年被後見人の死亡により成年後見は当然に終了するとされており、原則として成年後見人はその権限を失います。しかし、①相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為、②相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済、③ ①及び②の行為を除く本人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産全体の保存に必要な行為については、民法873条の2の規定により、成年後見人の権限に含まれるとされています。
日用品などの購入を取り消すこと
民法9条は「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」となっています。
例えば成年被後見人がコンビニでお弁当を買った、スーパーでティッシュペーパーを買ったといった行為については、いくら成年後見人でも取り消すことはできません。
今回は5つの「できないこと」をご紹介しましたが、そのほかにも利益相反行為にあたることや不当な財産上の利益誘導など、禁止されている行為もあります。
成年後見制度を利用する前に、困っていることは何か、その困りごとは成年後見制度で解決できるのかを確認することはとても大切です。気になる点がありましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。


