介護保険って何?④~サービスの理想と現実~

前回は介護保険でサービスを利用する前の、要介護認定を受けるまでの流れをご紹介しました。今回は自宅でサービスを使う際の注意点などをご紹介いたします。

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【お断り】このブログでは、介護保険のことを詳しく知らない方にも分かりやすいように、説明のしかたを工夫しています。一部簡略化して説明している箇所もありますので、ご了承ください。

介護度が決まったら次は?

要介護度認定の申請をして介護度が決まれば自動でサービスが利用できる、残念ながら介護保険はそのようなしくみにはなっていません。

自宅で介護サービスを利用するためには、介護の計画である「ケアプラン」を作る必要があります。このケアプランは自分で作ることも可能ですが、専門的な知識が必要で、サービス事業所や保険者である区市町村とのやりとりも行わなければならないので、専門家に任せるのが安心です。

このケアプランを作ってくれる専門家が「ケアマネジャー」で、ケアマネジャーがいる事業所を「居宅介護支援事業所」といいます。

というわけで、介護サービス利用の第一歩は「担当してもらう居宅介護支援事業所を決めること」です。

どこの事業所にお願いするかは原則自由です。パンフレットやホームページなどを比較して決めるもよし、友人や知人の紹介や口コミで決めるもよし、自宅から近いところで決めるもよしです。

ただ、初めて介護サービスを利用する場合は、どこの居宅介護支援事業所に頼めばいいのか分からないと思います。その場合は地域包括支援センターや区市町村の介護保険窓口などに相談をすれば、いくつか紹介してくれるでしょう。

ケアマネジャーのイメージ

ケアマネが決まったら次は?

担当するケアマネが決まったら、そのケアマネさんが利用者や家族の話を聞いたり、生活状況を確認したりするために自宅を訪問します。これを「アセスメント」といいます。

そこで判明した課題を解決するために「ケアプランの原案」を作成し、ケアマネやサービス提供事業所、本人、家族などが集まって「サービス担当者会議」を開催して、ようやくケアプランが確定してサービスの利用が開始されます。

そしてサービス利用中も適宜ケアマネが自宅を訪問し、設定した目標の達成具合等を確認します。これを「モニタリング」といいます。ここでサービスの過不足などを確認し、必要に応じてケアプランの見直しを行います。

ここまでざっと利用開始までの流れをご紹介しました。「意外と手間がかかるんだな」とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。これが「サービスの理想と現実」の1点目です

かゆい所に手が届くか?

突然ですが、介護保険法の第1条はご存じでしょうか?

第1条 この法律は、加齢に伴って(中略)要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護(中略)を要する者等について、(中略)その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため(中略)介護保険制度を設け、(中略)国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。

かなり(中略)しましたが、ポイントは下線を引いた部分です。「有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」とあります。

介護というと、寝たきりの方をお世話するようなイメージが強いかもしれませんが、もちろん全てがそのようなものではありません。

介護保険のそもそもの考え方は「何でもかんでもお世話する」のではなく、「自立した日常生活を営むようにお世話する」ことを原則としています。これを「自立支援」といいます。

私の経験上、ここのとらえ方がケアマネなどの「支援者」と、サービスを利用する「本人・家族」との隔たりが大きいように感じています。

利用する側からすれば、「あれをしてほしい」「これもしてほしい」と思うのは当然です。一方、支援者は「これは本人ができる能力があるのだから、サービスは必要ない」と判断することもあります。

すると利用する側は「希望するサービスが使えない」となり、かゆい所に手が届かないと思ってしまいます。これが「サービスの理想と現実」の2点目です

それでも介護保険は素晴らしい!

やや介護保険制度に批判的な内容になってしまいましたが、私は「介護保険は素晴らしい!」と思っています。

なぜ「サービスの理想と現実」にギャップがあるのかといえば、制度運営側の説明不足と利用側の理解不足が原因だと思っています。どんなに素晴らしいしくみでも、分かりやすく説明しなければ理解してもらえないし、利用する側も関心をもって理解しようと思わなければ、上手に利用することはできません。

従来家族(とくに女性)が担ってきた介護を、社会全体でサポートするしくみ。それが介護保険です。100%ではないかもしれませんが、比較的低廉な費用で手厚いサービスが利用できる、とてもありがたい制度です。このブログが、少しでもご覧いただいた方の参考になり、介護保険を上手に利用するヒントになれば幸いです。

次回は施設サービスの利用についてご紹介していきます。